【佐々木幸綱・永田和宏選】より
寸寸を何と読むかと娘(こ)の問いぬ秋葉原悲しずたずたと読めば (名古屋市)諏訪 兼位 ※「ずたずた」を辞書で引く。 『新潮国語辞典―現代語・古語(第二版)』・『広辞苑(第五版)』・『新潮日本語漢字辞典』には、「寸寸」の漢字表記が載っていた。 追記(08/10/16):詠者の氏名は、「すわ・かねのり」と読むことがわかった。『朝日新聞』夕刊(08/10/16)に、「心揺さぶる 短歌の魅力」と題した文章が、掲載されていた。地質学者で、名古屋大学理学部長、日本福祉大学長などを歴任された方であった。
【永田和宏・高野公彦選】より
眠ってたペンだこがまた復活し何やらうれし通信教育 (横浜市)富山いづみ ※私のペンだこは、パソコンを使い始めてから、眠り続けています。 ![]() (08/06/24 撮影)
【馬場あき子選】より
やさしさをスケッチできず溜息をつけば地蔵さん微笑んでおり(いわき市)馬目弘平 ※似たような体験をしたような記憶がある。絵でも書でも、日々、訓練が必要だ。 ※「(いわき市)」の隣りに、「(さいたま市)」が載っていた。元は、「磐城市」であったか。「さいたま」は、「埼玉」であろう。読みにくいというのなら、ルビを付ければよいと、私は考える。 ![]() カルガモの生き地蔵様? (08/02/01 撮影)
【馬場あき子選】より
さびしらに鴨らに菓子をやる人ふえ上野の鴨は肥満で飛べず(松戸市)猪野富子 [評]第三首の肥満鴨には人間の心ない行為への批判があるが、現実として哀れである。 ※菓子はいけませんね。人間でも菓子の食べ過ぎは良くありませんのに。こちらのカルガモには、今のところ食べ物を与えている人を見かけません。 ![]() カルガモ (08/02/08 撮影)
【佐々木幸綱選】より
牛の目のやさしき見ても殺しながら「クジラ殺すな」と叫ぶ民あり (交野市)遠藤 昭 ※相手のことも知らなければ、と『孫子』にもあるそうです。そこで、参考文献を紹介します。鯖田豊之(さばた・とよゆき)『肉食の思想 ―― ヨーロッパ精神の再発見』(中公新書、中公文庫)、鯖田豊之『肉食文化と米食文化 ―― 過剰栄養の時代』(中公文庫)。最初、読んだとき、目からウロコでした。必読書です。というより必備書ですね。西洋人とお付き合いする前に買っておきましょう。 ![]()
【高野公彦選】より
ヒトはいま生態系の上に立ち知床のシカを保護から駆除へ (北海道)佐藤拓子 ※国内では、このシカなど。国外では、鯨捕りがニュースになっている。 詠者の名、「拓子」の「拓」は、「開拓」にちなんでいるのでしょうか。「開拓」する側と、「開拓」される側。共存の道を探り得るのか。などということを、しばし、考えました。 ![]() カルガモとマガモ (08/01/14 撮影) 現在でも狩猟の対象だそうです。また、テレビのニュースで見ました。東京の不忍池のカモは、ヒトがエサを与えるので、肥満してしまい、飛ぶのが不自由になり、交通事故にあったり、その時期が来ても、「渡り」ができなくなっているそうです。 ヒトと、それ以外の生き物との関係、それぞれの事象に賛否両論はあるでしょう。短絡的に解答を出す前に、まずは、事実をできるだけ正確に把握することから始めたいものです。 「鴨葱(かもねぎ)」という言葉があります。おいしいのでしょうね。
【永田和宏選】
私の腰のくびれは子を抱いて片手で卵を割るためにある (広島市)志喜屋美穂 [評]志喜屋さん、子育て真最中の母親ならではの、発見。 わんわんといぬには違いがあるらしい使いわけつつ子は歩きゆく (高槻市)有田里絵 ※日常の中での「発見」を〈ウタ〉にする。これが「日本のうた」。参照1 参照2 【馬場あき子選】 ロボット犬あれどロボット猫はなし猫は孤独に籠るものゆえ (伊那市)加納正一 ※マンガとアニメの世界には、「猫型ロボット」が、しっかりと存在しますよね。「♪ あんなこと いいな できたら いいな ♪」。この歌声が聞こえなくなってからは、毎週金曜日は、別の番組を見るようになってしまいました。なぜかえたのでしょうか。残念です。『水戸黄門』は、歌い手がかわっても、同じメロディ、同じ歌詞のはずですよね。うらやましい。 ![]() カルガモ (08/01/08 撮影)
【佐々木幸綱選】より
瑞穂の国米麦作り暮らせない他に仕事なく限界集落 (陸前高田市)鈴木六也 ※「米麦作り」で暮らせない生活というのは、都市型の生活ということでしょうか。 ![]() 田んぼ(07/12/24 撮影) ![]() 【高野公彦選】 スーパーの中で生活するごとく毎日行きて食べ物を買う (八王子市)菊地威郎 [評]近ごろスーパーで男性客をよく見かける。第一首、毎日スーパーに行って食べ物を買うと、そこで暮らしているような錯覚に陥るという。現代の新しい生活形態。 ※わたしもスーパーにはよく行きます。冷蔵庫の中に入って、食べ物を取り出す感覚かも知れません。スーパーという大きな冷蔵庫から食べ物を持ち出し、帰宅すると、家の小さな冷蔵庫に納めます。 (07/11/21撮影)
【高野公彦】【馬場あき子】共選
閲歴は引揚・開拓・炭坑夫・店員・夜学、歌すこし詠む (熊本市)高添美津雄 [評(高野)]人生を丸ごと凝縮して三十一文字で詠むのは難しいが、第一首は大事な事柄を幾つか詠み込むことで人生を浮彫にした。結句が歌に彩りを添える。 [評(馬場)]第四首は結句で巧に締めた。 ※私も、一読、結句「歌すこし詠む」に目が止まりました。ここ数年、「歌すこし詠む」ことを、私も、しています。一週間に一度は、この「朝日歌壇・俳壇」を読んでいます。 ![]() 図鑑で調べたところ、カラタチ(枳・枳殻・枸橘)の実のようです。 < 前のページ次のページ >
|